今回は「薬が増えることによる弊害」をご説明しましょう。
おおまかに分けると、弊害としては以下のとおりです。
① 薬自体の相互作用で、副作用が増える
② 体調の変化が出た時に、体調自体が悪いのか、薬の副作用なのかの判断が難しくなる
③ 医療費が増える
まず①です。
薬とは、科学的に製造された化合物であり、不運にも副作用が起こってしまうことは確率的にゼロにするのは不可能です。
その機序は、薬に対するアレルギー反応、過剰に入ることによる中毒、薬どうしの相互作用というかたちにざっくりと分けることができます。
薬に対するアレルギー反応は体質の問題であり、少量でも服薬して比較的すぐに生じます。
過剰に薬が入ることによる中毒は、量や回数を誤ってしまったり、意図的に大量内服してしまったりすることによって生じます。
そして薬の相互作用ですが、異なる薬を同時にたくさんのむと体の中で理科の実験のように化学反応がおきて爆発する、っていうことではなく、主に「代謝」に関わってきます。
Aという薬だけを飲んだら8時間で体の中からなくなるのに、AとBという薬を同時に飲んだらBがAの代謝に影響を与えて、Aが体から消えるのに12時間もかかってしまう、というようなことが起こりうるのです。
この「相互作用」ですが、飲んでいる薬が多ければ多いほどそのリスクは上がるということは容易に想像できるかと思います。もちろんそのようなことが極力無いように、処方する医師や調剤する薬剤師がダブルでチェックをしています。
次に②です。
自分の体になんらかの異常(だるいとか、発疹がでるとか、肝機能が悪くなるとか)が生じたときにはその原因を探っていくわけですが、薬を全く飲んでいない人であれば、なにか新しい問題が体に発生したと考えます。
しかし薬を飲んでいる人はそれに加えて「いま飲んでいる薬がなにか悪さをしているかもしれない」という第二の選択肢が加わります。薬を複数飲んでいると、Aという薬のせいかもしれないし、BやCの可能性もあるというように、どんどん選択肢が増えていきます。
結果的に体に異常をきたした「正解」にたどり着くまでに時間がかかってしまうのです。
最後に③ですが、これは説明するまでもないですね。
国の社会保障制度は破綻の一途をたどってます。
医療費のかかる超高齢者が増え、それを支える生産年齢人口の減少、さらには超高額な医薬品の登場によって近々崩壊するのは目に見えています。
多くの薬が処方されること自体でも医療費が増大しますが、さらにそれによる弊害で医療費の増大が生じるという悪循環も生まれてしまいます。
日本の未来のためにも、いま一度薬を見直してみましょうね!
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